東海大学 工学部 動力機械工学科 成田研究室では「人と自然にやさしい乗り物」の開発を目指した研究を行っています。主なテーマは、環境・エネルギー問題を重視する将来の交通機械システムに必要不可欠な「磁気浮上技術」の研究と操縦性・快適性の最適化を目的とした「次世代インテリジェントビークル」の研究です。
今回は超小型電気自動車の消音制御の研究を行いました。
Purpose
超小型電気自動車とは、超小型モビリティに分類され、小型・軽量・低環境負荷といった先進的な特徴を備えています。しかし、超小型電気自動車は走行中のロードノイズや風切り音などによる車内の騒音が課題に挙げられます。そこで当研究室では、超小型電気自動車の壁面に設置した超磁歪アクチュエータを用いて、アクチュエータが発生させる壁面振動を利用して制御音波を出力し、外部から入力される雑音を消音するシステムを構築しました。
MIS Solution
MATLAB®/Simulink®用いてアクティブノイズコントロールのアルゴリズムを構築しました。対象となる騒音が100-500 Hzの周波数帯にあるため、従来のDSPではサンプリング周波数が不足し、十分な消音が行えませんでした。そこでMATLAB®/Simulink®と親和性があり、高速制御システムが構築可能な高速デジタル信号処理システム『SEAGULL』を採用しました。SEAGULLにアルゴリズムを実装して、車内下部と乗員の耳の位置付近に設置したマイクの音声をSEAGULLにアナログ入力し、制御音波を計算してアナログ出力し、消音制御を行いました。
Goal
外部からの騒音を10 dB低減することに成功しました。乗員の耳付近の音圧レベルを様々な条件下で低減できるように、消音制御をより精密に実施できるよう、SEAGULLを利用して引き続き検討を行います。
MATLAB®/Simulink®と非常に親和性が高く、以前のDSPと比較して導入までのハードルが非常に低いため、容易にシステムを構築する事ができました。そのため、その他の制御を必要とする研究テーマにおいても使用する予定です。
MathWorks® Products
- MATLAB®
- Simulink®
- MATLAB Coder™
- Simulink Coder™